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介護が必要となった高齢者のおよそ2割は「足腰などの障害」を原因としているそうです。
また国民生活センターによれば、65歳以上の高齢者が遭遇する事故の6割以上が「家庭内事故」によるもので、階段の上り下りや、普通に室内を歩いているときの転倒や転落などが最も多いそうです。
これらの事故による骨折やけがなどをきっかけとして寝たきりになるなど、そのまま長期の介護生活に入っていくことも珍しくありません。
・病院危害情報からみた高齢者の家庭内事故(国民生活センター)
体重の30~40%程度を占める筋肉量は、歳を重ねるにつれ落ちてきます。70代ともなると、筋肉量は20代の時からなんと4割も減ってしまいます。
筋肉が減るのは仕方ないにせよ、減り方を遅くするためには、運動するしかありません。あわせて加齢にともなう骨や関節の衰えを防ぐ運動、とりわけ年齢を問わず、あるいは年齢に応じたメニューで続けることのできる「筋力向上トレーニング(筋トレ)」が、介護予防のカギとなります。
運動で骨や関節をつつんでいる筋肉を鍛えることは転倒のリスクを減らし、骨粗鬆症の予防にもつながります。
運動・筋トレといってもむろんハードなものではなく、日常の生活に若干の負荷を足す程度がよいのです。
身体を動かす機会を一日にほんの2~3分増やすだけでも、それなりの効果が得られることがわかっています。
加えて日頃まったく運動することのなかった高齢者ほど、その効果がでやすい傾向にあります。
まずは数日おきでもよいので長く続けることを第一目標に、少しずつ回数や運動時間を伸ばしていくことを目指すとよいでしょう。
「基本チェックリスト」とは でもご説明したとおり、市区町村が実施する「介護予防事業(地域支援事業)」においては、「運動器の機能向上サービス」が設けられています。
これを利用して、地域で開催される運動教室の筋トレプログラムなどに参加するのもひとつの方法です。
介護予防の観点から設計された、低負荷の高齢者専用筋トレマシンを設置している公共施設などもありますので、積極的にその活用をはかりたいものです。
自宅で筋トレなどの運動を行うときは、「介護予防教室」と「ご当地体操」 でも述べたように、バランスをくずしたり、運動中に障害物に足をひっかけたりする危険性があります。
室内スペースの十分な確保、そして様子をみてくれる家族らが周りにいる環境で行うようにしたいものです。
社団法人 日本整形外科学会は、加齢にともなって足腰の関節や筋肉が弱り、歩行など移動する力が衰えて介護が必要になるおそれのある状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ、運動器症候群)」と名付け、ロコモを防ぐための適度な運動(ロコトレ)を呼びかけています。
「ロコモ」を調べて予防しよう(ロコモ チャレンジ!推進協議会)
「ロコトレ」では、特に「身体の柔軟性」と「足腰の筋力」をキープすることが目標になります。こちらを自宅で行う運動のベースメニューとするのもよいでしょう。
また最近は、日本老年医学会が提唱する「フレイル(虚弱)」という概念も少しづつ定着してきており、その予防としての運動に関わる研究も進められています。
フレイルとは~介護予防はいつからスタートすべきか
(なお高齢者の「精神面」に対しての介護予防ケアに関しては 介護予防事業におけるうつ予防・うつ対策とはおよび認知症予防~国・市町村・個人それぞれの取り組み をご参照ください。)
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