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「介護予防」の目的と、介護保険上の位置づけ



介護予防,介護保険,老年症候群介護予防」とは、(1)「要介護状態になることを、できる限り防ぐ遅らせること」および(2)「現在すでに要介護状態の場合は、状態がそれ以上悪化しないようにする改善を図ること」の両方をさします。

(ちなみに「要介護」というのは、介護保険で定められた利用限度枠を認定するために設けられた基準です。認定の区分は「要支援(1・2)」と「要介護(1~5)」の7段階にわかれています。)


とりわけ(2)の、"現在の身体状況のこれ以上の悪化を防ぎ、改善に努めていく"ことが「介護予防の定義に含まれていることは、つい見落としがちですので注意しておきましょう。


介護予防」は、平成18年2006年4月の改正介護保険法において導入され、現在の介護保険制度の一端を担うものです。


具体的に「介護予防の対象となるのは、要介護認定において「要支援(1・2)と認定された介護保険の被保険者の方々です。


(ちなみに「要介護認定」ですが、まずは本人または家族から、居住地の市区町村役所や地域包括支援センターに対して、申請手続を行います。

その後、調査員の訪問調査や聞き取り調査を経て、コンピュータによる一次判定と、専門家で構成する介護認定審査会による二次判定を経て、申請から原則として30日以内に「非該当自立)」「要支援(1・2)」「要介護(1~5)」のいずれかの認定結果が、文書で届くことになります(詳しくは姉妹サイト内記事 介護保険の申請~「主治医意見書」「認定調査」で気をつけたい点 ご参照)。


さて、ここでもうひとつ、「地域支援事業」の主な一環として、「介護予防事業)」が同じタイミングで導入されることになりました。

この「地域支援事業」は市町村が主体となって行いますが、実際は地域包括支援センターに委託が成されている場合がほとんどです。


つまり「介護予防」は、介護保険の要介護認定において、

 ・認定を受けていないか、あるいは「非該当自立)」判定の人たちを対象に、市区町村主体 
  
で実施する「介護予防事業」と
 ・
要支援(1・2)認定の人たちを対象に、介護保険から給付が行われる「予防給付」 

との、大きく二つのステージに分かれているのです。


別の言い方をすると、介護保険の要介護認定というモノサシによって、この二つのステージに分けられているかたちになっています。


被保険者として介護保険の予防給付を利用する前に、そうならないよう健康なうちから市区町村の介護予防事業を積極的に利用して予防に努めてほしい、というのが国のメッセージなのでしょう。


背景にはもちろん、国の介護保険財政のひっ迫があります。


国の介護保険の総費用
は、制度がスタートした2000年は3.6兆円でしたが、要介護者数の急速な増加に伴い、2006年には7.1兆円(予算ベース)、ほぼ倍増となりました。

(ちなみに65歳以上が支払う月額の介護保険料も、2,911円全国平均でスタートしたものが、すでに4,000円を超える水準となっています。)


介護予防の普及によって介護保険の給付利用者が減少すれば、介護財政の負担も中長期的に減らしていくことができるだろう...という、厚生労働省の狙いがあるわけですね。

しかし残念ながら現在のところは、 介護予防がなかなか普及しない理由 でも述べているとおり、高齢者に対しての普及の度合いもいまひとつで、もくろみどおりとはいっていないようです。



さて、二つのステージは同じ「介護予防」にかかわるものですが、前者の「介護予防事業」は市区町村が実施の主体となっていて、しかも介護保険が適用されている者以外を対象としていることには、注意が必要です。


予防給付」となると、もはや被保険者として直接的に介護保険を使っているわけですね。

これに対して「介護予防事業」の場合は、介護保険をいわば間接的に利用しているかたちになります。
市町村が行う「地域支援事業」には、介護保険財政の3%を上限にその費用が支出されているからです。

なお上で述べたように、現在の要介護状態のこれ以上の悪化を防ぐことも、介護予防の定義に含まれていることを、思い出してください。


介護保険の予防給付」そして「介護予防事業」については、それぞれ 介護保険の予防給付(介護予防サービス)の概要  市区町村の「地域支援事業」とは でご説明してまいります。
 

ところで皆さんは、「老年症候群」という言葉をご存知でしょうか。

これは、生きていくために必要な力、記憶力・判断力・生きることへの気力といった「生活機能の全般的な衰えの進行によって、高齢者の日々の営み、すなわちその「生活の質が知らず知らずのうちに低下してしまうことを指します。

たとえば、高齢者が家の内外を問わずに転びやすくなったり、低栄養状態となったり、うつ状態認知機能の低下が見られることなどが、老年症候群の具体的症状といわれます。


(以下の姉妹サイト内記事も、あわせてご参照ください。)

高齢者のうつ病~家族の対応と気づき・治療の注意点
認知症の高齢者介護、早期治療のために家族がすべきこと


これらは必ずしも病気によって起きるものではなく、むしろ身体と精神が弱ってくる過程で起きる症状です。

ということは、適切に対処することによって高齢者の老年症候群を予防することは可能、と言えるわけです(逆にその対処を誤れば、潜在的な病気まで顕在化させてしまい、多臓器疾患・ひいては要介護状態へと向かう恐れがあります)。


高齢者にとってはこの「老年症候群の予防」こそが特に必要であり、同時に「介護予防のための基本的な考え方ともなるわけです。



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