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介護予防がなかなか普及しない理由



 

平成18年(2006年)4月の介護保険法改正を機に、厚生労働省や自治体は「介護予防」に関わる一通りのプログラムを用意し、そのPRに努めています。


厚生労働省はこのような介護予防事業普及啓発パンフレットも作成していますし、いくつかの自治体においては、啓発用のパンフレット等も作成しています。しかし現状、その成果はいまひとつです。

各種の講習会、チェックリスト利用にもとづく健診の受診者数などの、介護予防事業への参加者数は全国的に伸び悩んでいる状況です。

 


厚生労働省によると、介護予防事業(地域支援事業)を利用する65歳以上の高齢者は、全体の0.5%程度(2009年度)にとどまっています。


一部の希望者のニーズには応えているかもしれませんが、介護予防の考え方が一人一人の高齢者に広く行き渡っているか?と問われると、残念ながらまだ全然普及していないというのが現状なのです。


理由は、いろいろと考えられます。まず、「介護予防」というコンセプト(概念)そのものが、対象となる高齢者層にまだ十分浸透していないことがあげられるでしょう。


いや、こと高齢者に限らず、われわれは一般に、いざ事が起きてからはあわてて対策をとったりするものの、事が起きるまえに先々を想定し日頃からその予防に努める、という行動をとらない傾向があります。

たとえば、地震対策として数日分の食糧備蓄をしている家庭が全国で一体どれくらいあるか?といったことひとつを考えてみても、思い当たるふしがあることでしょう。


一般の人々にとって「予防とは、日頃から自覚し具体的に実行するのが案外と難しい行為なのです。

ましてや外部から広く啓蒙・普及をはかっていくとなると、根気強く時間をかけた、さまざまな角度からの取り組みが必要なはずで、現状ではその点がまだ不十分と考えられそうです。

 

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また「介護予防」という考え方自体、まだまだ国と自治体の間だけに止まっている感があります。

民間のサービス・製品競争が活発に行われるような介護予防専門の市場も、いまだに形成されていません。


そのためか、「介護予防」というコンセプト(概念)の普及スピードもゆるやかで、高齢者は市町村の広報誌やポスターなどではじめてその存在を知るという程度の意識レベルに、とどまっています。


これらの問題の解決については、すでに各方面からさまざまな方向性が打ち出されていますが、その効果は未知数であり、さらに効果が現れてくるまでの時間も、かなりかかりそうです。


2025年にはいわゆる団塊の世代が全員「後期高齢者(75歳以上)」へスライドして、全人口のほぼ4人に1人になる(特に女性の後期高齢者が増える)と見込まれており、日本における高齢化は猛スピードで進んでいます。


国や自治体もあまりのんびりやっていては、介護予防が普及する前に介護・医療関連の財政がパンクしてしまうことでしょう。


民間やマスメディアも巻き込んだ介護予防にかかる普及・啓蒙対策の見直しに、早々に着手する必要があるのではないでしょうか。


最後に、「介護予防」はひとりひとりの高齢者にとってみると、何よりもまず「自分自身の」健康そして尊厳のある生活が送れるかどうか、に関わってくる話です。

「介護予防」などは面倒くさい、病気になってから病院に行けばよい...というこれまでの考えのままでは、国や自治体はもちろんのこと、自身も自らの身体をもってして最終的に大きな「ツケ」を支払うことになってしまいます。


これからはひとりひとりの高齢者自身が、「自らの健康と生活を守るため、介護状態になる前に、予防的・主体的・積極的に情報を集め、実践する」という、介護予防のための前向きなアクションを起こすことが必要になってくるはずです。


高齢者一人一人が自らの健康と身体のために「介護予防」に関心を持つこと、それがすなわち、「介護予防」がこの日本で広く普及するための強力な誘因にもなるのです。


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