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予防の効果がでやすい人の「属性」とは



介護予防サービスを利用することによって、本当に効果が得られるものでしょうか。

また効果が得られるとしたら、それはどの程度期待できるのでしょうか。


残念ながら現状では、この問いに対する明確な回答は無いようです。


平成18年(2006年)4月の改正介護保険法の一環として介護予防が正式に位置づけられてから、そして市町村が実施する地域支援事業介護予防事業)がはじまってから、まだたった数年という段階です。

 


効果を測定するためのサンプルも少なく、データの蓄積もまだまだ乏しいからです。


しかしそのなかで、厚生労働省が全国83市町村で実施されてきた介護予防事業の効果に関わるデータを仮集計し、平成21年(2009年)3月に発表を行いました。

第6回 介護予防継続的評価分析等検討会 議事次第(厚生労働省)


介護予防事業の導入前と導入後を比較するために、1,000人を対象に一年間の追跡調査を行った結果、特定高齢者および要支援者では介護予防導入後に状態が「維持改善」となった人の割合がいずれも上昇し、逆に「悪化」となった人の割合がいずれも減少したことから、「介護予防に一定の効果が見受けられた」としています。

 

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仮集計でもあり、また要介護度が異なる人を対象に一定の仮定を置いて実施した評価分析であることもあって、この結果からただちに「介護予防は確実に効果あり」とは、当の厚生労働省も考えてはいないようです。


この報告は「サービス内容による介護予防効果」として、効果を維持・改善しやすい「属性」をまとめています。


そのなかで「運動器機能の向上」「栄養改善」「口腔機能の向上のすべてに共通する属性(それぞれの内容は、 「基本チェックリスト」とは をご参照)としては、以下があげられています。


ふだんの生活で「役割」を持っている人
認知機能が高い人
認知的活動が活発な人


個別に見ていくと、「運動器機能の向上」においては「基本チェックリストにおいての得点が低い人」「介護予防通所介護介護予防デイサービスを利用している要支援者」が維持・改善しやすい、としています。


栄養改善」においては、栄養改善に関わる介護予防サービスの利用者が少ないため、分析ができなかったとしています。

また「口腔機能の向上」においては「基本チェックリストの得点が低い人」「介護予防通所介護や介護予防通所リハビリテーションの、口腔機能の向上サービスの利用者」が維持・改善しやすい、とのことです。


これらの結果からすると、仕事や地域社会への参加を通じてふだんから自分の生活に一定の意味を持たせ、あるいは生活に刺激をもたせることを工夫して、頭を活発に働かせるように努めることが、介護予防プログラムに参加した場合にもその効果を期待しやすいようですね。


厚生労働省は調査の精度が十分でないことを認めつつも、介護予防の効果、そして介護予防サービス実施の「費用対効果」は確実にある、と分析しているようです。


今後さらに、介護予防にかかわる調査分析の方法や調査の精度は向上してくると見込まれますが、なによりの課題は「介護予防プログラムへ参加する高齢者の絶対数を増やすこと」となりそうです。


「介護予防事業という言葉を聞いたことがない」とする人が回答者全体の6割近くに達した、という内容の調査結果もあるほどです。


介護予防がなかなか普及しない理由 でも記しましたが、国・自治体として(民間においても、ですが)介護予防にかかわるPR・啓蒙活動が、現状まったく不十分なことは明らかです。

この点を強力に改善しない限り、介護予防に対する人々の意識が大きく高まることは期待しがたいのではないでしょうか。


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