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資格の概要と、有資格者の現状(1)に続き、介護予防に関わる主な資格をいくつかご紹介します。
・ケアマネジャー(介護支援専門員)
通称「ケアマネ」。正式名称は「介護支援専門員」です。
要介護認定の手続きを本人や家族に代行して行ったり、また介護保険におけるケアプラン(介護サービス計画)の作成や、介護報酬の計算などの給付管理(ケアマネジメント)を行い、さらには要介護認定者からの相談業務や市区町村・介護サービス事業者との調整までを行う専門職です。
市町村の担当窓口や地域包括支援センターにはケアマネジャーのいる施設のリストがあり、そこで確認することもできます。
ケアマネジャーは、介護保険法にもとづく指定を受けた「居宅介護支援事業所」に所属して働く方が大半となっています。
同じくケアマネジャーの配置が義務づけられているグループホームや介護老人福祉施設(特養)などの「介護保険施設」で働く方もいます。
(ケアマネジャーについては、姉妹サイト内記事 ケアプランやケアマネジャーを変更する場合の、手続と注意点 もご参照ください。)
現在はケアマネジャーの多くが、介護福祉士や看護師の経験を持つ有資格者となっています。
介護福祉士・社会福祉士・看護師などの有資格者で5年以上(または10年以上)の実務経験を有する者が、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修」を受講し、試験合格後に都道府県へ登録することによって取得できます。
東京都介護支援専門員 実務研修受講試験(東京都の例)
平成28年(2016年)度からは、ケアマネジャーの研修制度が大きく見直されます。従来の「基礎研修」が「実務研修」に統合され、研修時間も44時間から87時間へと大幅に増えます。
また、こちらは時間的猶予のある話ですが、ケアマネジャーの受験資格が「平成30年度(2018年度)から」大きく変更されます(本来は平成27年からでしたが3年の猶予期間が設けられ、平成30年度(2018年度)からは、新しい受験要件を満たさねばなりません)。
具体的には、現在その業務に従事しているか否かを問わず、「下記業務に5年以上従事していること」が、ケアマネジャーの受験要件として必要になります。
・保険/医療/福祉に関する法定資格保有者(看護師・精神保健福祉士など)
・(介護保険施設等の)生活相談員
・(介護保険施設等の)支援相談員
・(障害者分野の)相談支援専門員
・(生活困窮者分野の)主任相談支援員
その一方で、これまでは受験が可能だったホームヘルパーの研修修了者や、法定資格を持たない福祉事務所のケースワーカーなどは、受験ができなくなります。
これはケアマネジャーが所属して業務を行う「居宅介護支援事業所」の指定権限が、平成30年(2018年)度に現在の都道府県から、市町村長に移されることとも、歩調を合わせています。
市町村の居宅介護支援事業所に対する勧告・命令・指定取消などの権限が大きくなると同時に、ケアマネジャーとの距離感もグッと近づくことから、介護実務の現場におけるケアマネジャーの専門性を一層高めていく必要性があるためです。
また、これまであった「法定資格の保有者に対する、試験問題の一部解答免除」の廃止も決まっています。この試験問題の一部解答免除は平成27年(2015年)度試験から実施され、受験者全員が同じ問題になります。
なお、平成18年(2006年)4月の改正介護保険法で発足した「地域包括支援センター」において1名以上の人員配置が必要として創設された資格として、「主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)」があります。
「主任ケアマネジャー」は、地域のケアマネジャーの相談に応じたり、また彼らへのアドバイス等も行うなど、いわば後方支援的役割を果たしています。
主任ケアマネジャーにおいては「5年ごとの更新制」が平成28年(2016年)度から導入され、それに伴う「更新研修(46時間の研修の義務づけ)」が創設されます。
これは「更新のために」新たに設けられた研修であり、従来の主任ケアマネジャーになるための研修時間は70時間(これも平成28年(2016年)度より、従来の64時間から変更)となります。
・ホームヘルパー(訪問介護員)
利用者宅を訪問し、介護保険で決められた給付である介護サービスや家事援助サービスの提供や、市町村からの委託による在宅支援(ホームヘルプ)サービスの提供を行います。
ホームヘルパーは、ホームヘルプ事業を行う社会福祉法人や事業所の指示により勤務しますが、就業形態としてはおよそ8割が非常勤(登録型)となっています。
調理や掃除・洗濯といった生活援助、食事や入浴・排泄の介助などの身体介護、車やタクシー乗り降り時の介助などをサービス業務として行う、在宅介護にとって無くてはならない存在です。
しかしながら以下のニュースでもおわかりのように、全体として重労働の割りに低い賃金水準を強いられているのがヘルパーの実情となっており、いまや介護業界の厳しさを象徴する職種となっている感すらあります。
従事業務の厳しさとその社会的役割の重要性にみあったヘルパーの待遇改善が、早急に望まれるところです。
(ホームヘルパーについては、姉妹サイト内記事 ホームヘルパー 介護サービス提供時における頼み方・接し方のコツ もご参照ください。)
なお介護福祉士を含めた介護資格再編成の一環として、ホームヘルパーの資格も見直しが行われ、平成25年(2013年)4月から実施されています。
(介護福祉士とホームヘルパー、資格取得要件の見直し(2)ご参照)
これまでのホームヘルパー資格は、都道府県指定のホームヘルパー養成研修を受講しその修了によって、認定されていました。
しかし平成25年(2013年)4月からは、「介護職員初任者研修(ヘルパー2級に相当)」「介護職員実務者研修(ヘルパー1級+従来の介護職員基礎研修を一本化)」を受け、所定の研修時間数を修める必要がある等、制度が大きく変わっている点にご注意下さい。
・看護師
医師の指示のもと、医療現場において診療や治療の補助・患者の療養上の世話等を行う国家資格です。
最近は専門看護分野の細分化が進み、「認定看護師」「専門看護師」「認定看護管理者」などの認定資格が創設されています。
なお、地域包括支援センターにおいては「保健師または経験のある看護師」を置くことが定められています。
資格試験案内 看護師国家試験の施行(厚生労働省)
看護職を目指す方へ(社団法人 日本看護協会)
・保健師
疾病予防や健康教育、さらには医療機関との調整など、公衆衛生のための仕事を行う国家資格です。社会福祉士と同様、「名称独占の資格」です。
介護予防関連以外にも、子供から社会人に至る幅広い年齢層を対象とした健康相談や、地域のみならず企業に所属して従業員の健康管理を行う場合もあり、一般に保健師の業務の守備範囲は看護師よりも広くなる傾向があります。
地域包括支援センターにおいては、「保健師または経験のある看護師」を置くことが定められています。
・健康運動指導士
健康運動指導士は、「財団法人健康・体力づくり事業財団」が認定する民間資格です。
介護保険施設や健康増進センターなどの介護予防事業において、個々人に適した運動プログラムの作成や、その指導を行っています。
資格取得には、一定の受講資格を有した上で講習会や養成講座を受講し認定試験に合格する必要があります。
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