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要支援の一部給付の市町村への移行と、その将来的影響



平成26年(2014年)6月に成立した「地域医療・介護総合確保推進法」による大きな枠組みのもと、平成27年(2015年)4月から、いくつかの大きな変更が加えられた「改正介護保険法」が施行されました。

平成27年(2015年)の介護保険改正(1)


「介護保険の介護予防サービス」の利用者にとっての重大な変更点は、これまで全国一律で設定されていた「要支援者向けサービスの一部」が、市町村の地域支援事業(総合事業)に移行することです。

市区町村の「地域支援事業」とは


市町村の地域支援事業(総合事業)に移ってくるのは「介護予防訪問介護(介護予防ホームヘルプサービス)」・「介護予防通所介護(介護予防デイサービス)」の2サービスだけで、他はこれまでどおり、介護保険サービスとして残ります。 ちなみにこの2サービスの移行は、平成30年(2018年)3月末までに完了させることになっています。

上記の2サービスのみでなく、従来の介護保険の予防給付サービスをケアプラン上1種類でも組み合わせて使う場合も、これまでどおり介護保険の予防給付サービスとして使い続けることができます


今回の移行では市町村に配慮して一定の猶予期間を設け、平成30年(2018年)4月からは、市町村の地域支援事業に完全移行することになります。

しかしそれでもなお、現状でスムーズに移行できている市町村は全体の4割程度に留まっています。


この改正の大きなポイントは、今後は要支援者が住んでいる市町村の裁量如何によって、サービスの報酬単価や利用料、そしてサービスのあり方が変わってくる点です。


移管後1~2年程度では大きな違いを感じることは少ないかもしれませんが、「地域包括ケアシステム」の考え方を国が推し進めている現在、市町村がそれぞれの地域の実情に応じた対策がさらに打ちやすくなることは、確かにひとつのメリットではあるでしょう。

平成24年(2012年)の介護保険改正(2)~「地域包括ケア」の推進

 

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ただし、市町村の地域支援事業の計画と予算内で裁量的に決まってしまう仕組みになる以上、財政が苦しい市町村の場合、中長期的にどうなるかが懸念されることは否めません。

今回のこの改正では、受け皿となる市町村が動きやすいよう、国としても配慮をみせています。


まず、厚生労働省の通知レベルで運用していた「地域ケア会議」を、法律上の正式な機関として位置づけることにしました。

これによって、市町村が介護分野のさまざまな職種を横断的にみながら、全体で課題を設定したり、政策を形成する土台ができました。

さらに地域包括支援センターに対して、事業の質の評価を自ら行わせるようにし、市町村にも業務の定期的な点検を求めるなど、その機能強化を新たに改正法で定めました。

市町村がNPOやボランティアを活用する機会も今後さらに増えてくると予想されることから、市町村と地域包括支援センターの連携を、より密なものとする狙いがありそうです。


市町村の体力次第でサービス水準が劣化したり、サービス提供力の自治体間格差が一層拡大する可能性も指摘されています。


とりわけ初期の認知症患者の方につきその進行を遅らせる観点で、国の介護予防給付はこれまで一定の役割を担っていました。

制度改革後は、「認知症の重度化を避けるための予防的施策」においても、市町村がかなりの重責を担うことになります。


要支援者向けの介護費用は介護保険財政全体の5%程度、要支援者数も150万人程度にとどまっており、 現状ではまだ大きな割合を占めるものではありません。

しかしこの割合が今後増えてくることもまた確実なため、国としても更なる介護保険財政のひっ迫を勘案した末の見直し、ということなのでしょう。


国としては、全ての介護予防サービスを市町村に移行して、重度者のみを介護保険で対応したいのが本音でしょうし、仮に今回の改正がスムーズに着地すれば、そのような話が再び出てくることは容易に想像されます。


加えて今回の見直しが、この先の「要介護の認定基準」に何らかの影響を及ぼすことも避けられないでしょう。


したがって要支援の介護保険で予防給付サービスを使っている現在の利用者のみならず、近い将来家族の要介護認定の申請を考えている家庭にとっても、かなりの影響がある問題です。

今後の事態の推移に、いっそう細かな注意を払う必要がありそうです。


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